ライディングテクニック上達法

ステアリングフルロックターンはどのくらい練習すればできるか?

今回はハーレーライダーの憧れ、
ステアリングフルロック旋回
どのぐらい練習すればできるようになるのか?

という質問についてお話していきたいと思います。

ステアリングフルロックターンはどのくらい練習すればできるか?

質問/
ステアリングフルロック旋回に憧れます。
トレーニング参加すればできるようになりますか?
また、何回参加すればよいでしょうか?

回答/
ハーレーライダーに限らず
ステアリングフルロック旋回は、
ライダーの憧れ、目標なのかもしれません。

1.ステアリングフルロック旋回には基本操作が必要

はっきり言って、ステアリングフルロック旋回
ある程度トレーニングされている方にとって、
難しい技術ではありません。

しかしそれは、
必要な基本操作ができているという前提の話で、
基本操作を身に付けていない人が、
ステアリングフルロック旋回のポイントだけを確認し、
いきなりやってできてしまうものではありません。

たとえば学校教育でも、
低学年で基礎学力を身に付けていなければ
上級学年の難易度高い応用問題は解けません。

それではステアリングフルロック旋回を完成させるまでの
基本操作とその手順について簡単に説明していきます。

2.ステアリングフルロック旋回に必要な基本操作と手順

①低速コントロール

ステアリングフルロック旋回に必須な基本技術とは、
安定して低速を維持できる速度コントロール技術です。

旋回半径の大きさは旋回速度で決まります。
旋回速度が速いほど旋回半径は大きく、
遅いほど小さくなります。
よって、ステアリングをフルロックさせて
小さく旋回するためには
旋回速度を安定して落とし、
維持する技術が必要になります。

これを知らない者が、
もしくはその技術がない者が、
無理にハンドルをこじって、
また車体を倒し込むことで、
より小さく旋回しようとし、
バランスを崩してしまうのです。

そんなことをしなくても、
二輪車は旋回速度を落とし
遠心力を小さくしてあげれば、
車体は旋回円の中心に向かい傾きながら、
自らステアリングを切り
車体のバランスを整えてくれます。
それが本来の二輪車のセルフステアという機能です!

一般的な大型スポーツ車であれば、
リアブレーキの踏み加減で
この低速コントロールが可能で、
リアブレーキを使って、
エンジン回転数を落としてあげれば、
それに合わせて簡単に
速度も落とすことができます。

ハーレーのエンジンの場合、
低速の駆動力は大きく力強いのですが、
エンジン回転数を落とすと、
途端に回転が不安定になって、
振動が大きくなってしまうため、
前述のリアブレーキでの低速域の
速度コントロールができないのです。

エンジン回転数を落とさずに
エンジン駆動力と速度だけを落とすには、
ハーレー特有の操作として、
代わりに半クラッチ操作を使います。

アクセル開度一定で
アイドリング1500回転程度に高め、
リアブレーキは車体を安定させる目的で使うだけ、
軽く踏み込みこちらも固定します。

通常半クラッチには、
エンジン駆動力が後輪に
かろうじて伝わる瞬間から、
完全にエンジン駆動力が
後輪に伝わる寸前の瞬間まで
半クラッチ加減の異なる領域があります。
ライド・ライク・ア・プロではこれを
フリクションゾーンと言いますが
その領域内でのクラッチレバー加減で
エンジン駆動力を変え、
旋回速度を変えていきます。

リアブレーキ加減を使わずとも、
左手クラッチレバーの指先の加減だけで、
ローギアでも歩くより遅い速度から、
駆け足するくらいの速度までの
変更が自在にできるようになります。

②体重移動フォームとセルフステアの引き出し方

旋回している車体のバランスを崩すことなく、
安定した状態を続けるための、
体重移動と移動した体重・重心を
保つ方法が次に必要になります。

シート座面旋回側から
ライダー上体の両肩に方向に立ち上げた
左右の回転軸を中心に
反対側(外側)の肩を旋回側に45度回し、
さらに頭を45度回し、
目線方向を計90度旋回方向に向けていきます。

これにより旋回側シートに体重が移動できます。

このフォームによって体重移動ができると、
セルフステアを引き出しやすくなるため
ハーレーの持つ本来の旋回性が現れます。

あとは、車体が持つ旋回性と
そのバランスを保つセルフステア機能のままに、
車体に対するフォームを固定するために、
旋回中はニーグリップを強めておけばいいのです。

③恐怖を覚えない練習環境

トレーニングを行っていない者にとっては、
このセルフステアによる旋回性が高まった状態を、
ハンドルが切れ込み、車体が倒れこむ、
怖い状態と受け止めてしまい、
上体を持ち上げ体重移動を戻し、
切れるハンドルを抑え、
クラッチを握り、アクセルを戻しなど、
本能的に抵抗してしまいます。

そのため、精神的プレッシャーや
恐怖を感じにくい安全な広い場所で、
大きな旋回半径で、車体をあまり傾けない状態から、
基本旋回を繰り返しながら、
一つ一つの動作と操作を覚えていく必要があります。

以上、本来このトレーニングを経て、
その過程の中でステアリングフルロック旋回を
体験できるのであって、
けしてそれだけをゴールにしてほしくはありません。

本当にライディングが楽しくなるのは、
フルロック旋回できるような基本操作が身につき、
安全マージンをしっかり確保しながら、
いろんな動きで自在にマシンを
操れるようになってからなんです。
それがハーレーのライディングを
真に満喫することであり、
多くのハーレーライダーに体験し、
感じてほしいと考えていることです。

3.ステアリングフルロック旋回の完成に要する時間

基本的に早さや俊敏さ、
難しい操作を求める技術ではないので、
エンスト→転倒に対する
そのライダーの精神的リミッター次第となります。
詳しく言えば、
速度を落とすほどエンストしやすく、
大きくハンドルを切り車体を傾けるほど、
バランスを崩しやすく、転倒しやすくなることに対して、
精神的なリミッターの作動しやすさによります。

精神的リミッターが低いと、
どうしても恐怖心が先走り、
技術習得に時間がかかってしまいます。
そのため、ステアリングフルロックまでの時間は
精神的リミッターの違いによる個人差が大きいのです。
すごく無責任な言い方をすれば、
短期間でトレーニングに
3、4回ぐらい続けて参加されれば、
できているような気がします。
初参加者でもその日にできてしまう人もいれば、
それを練習目的にしていなければ、
できるまでに時間がかかる方もいます!

人それぞれであり、本来フルロックを
ライディングのゴールにするものではないので、
人と比べることはあまり意味がないことを
付け加えておきます。

4.トレーニングの真の目的・ゴール

難しそうに見えることをできる人は
まだ上級者とは言えないのかもしれません。
難しいことを簡単そうにやっている人が上級者です。
だから、ステアリングフルロック旋回
できるようになりたい!
できたといって、一喜一憂するのではなく、
トレーニングでは基本操作、基本技術を
ひとつずつ確実に身に付けること、
いつでも安全で質の高いライディングを目指すことを
目的・ゴールにしていただきたいと考えます。
そして手に入れたその技術を通じて、
真の意味でハーレーライフを楽しみ
人生をもっともっと豊かに
していただきたいと思っています!

 

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記事投稿日:2020/05/11
カテゴリ : ハーレー・ライディング ライディング上達法 低速走行・小旋回